不動産引き渡し時の注意点

不動産における引き渡しのタイミング

不動産売買取引が他の動産購入と大きく異なるのが「引き渡し」のタイミングを契約によって定めることができるという点です。
特にこれから新しく建物を作る新築物件においては、業者と契約を交わした時点ではまだその対象となる不動産が全く存在していません。

ですので契約の時点でその不動産がどのくらいの価値でどんな現況であるかということを確認することができませんので、後日工事が終了したところであらためて確認と引き渡しをされるということになります。

不動産契約における「引き渡し」は工事がきちんと当初予定していたとおりに実行されたかという確認をするとともに、その日を境に所有者が移転することになる非常に重要なものです。

引き渡しに関わる権利変動やその後に必要になる手続きをしっかりと理解しておかなければ、あとから思わぬトラブルに発展してしまうこともあります。

通常の不動産売買契約の場合には、新築・中古に関わらず最初に何月何日を引き渡しとするかを明確に定めます。
現在居住者がおらず即入居可というような物件であっても、普通の品物の売買のようにその日に申し込んで引き渡し完了になるということは少なく、通常申込から1週間~10日くらいの猶予をもって引き渡しがなされます。

建物引き渡し前の破損の責任

不動産の引き渡しの日付を定めるときには慎重になる必要があります。
これは原則的には引き渡しが正式にされるまでの間は物件の所有者は売り主にあり、破損などの責任は施工業者がとることになっているからです。

新築やリフォーム中の建物が何らかの原因で破損をした場合には、原則的にはその工事を行う施工業者が現状回復の義務をおいます。
そうしたどちらが責任を負うかということを専門用語で「危険負担」といいますが、この危険負担に備えるために施工業者があらかじめ火災保険などに加入しておくこともよくあります。

危険負担は法律などによって定められているわけではないので、最初の契約によっては施工中の火災の場合は建築主(買い主)が負担しなくてはならないと定めることもできます。

ただし施行中の物件の破損が不可抗力ではなく施工業者側の過失によるものである場合にはどのような契約であっても責任負担は業者側になります。

難しいのが引き渡し日として予定していたにも関わらず、その日までに施行が完了しなかった場合や、完了と扱われているにも関わらず建物の一部に明らかに破損部分があるという場合です。

もし引き渡し予定日になっても完成されなかったり建物内の設備に著しい瑕疵があるという場合には、債務不履行を理由に契約そのものを解除することもできますので契約内容は慎重に確認しておきたいところです。

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