中古住宅市場の活性化!?2018年から義務化されるインスペクションについて解説します

住宅を第3者的立場で診断するホームインスペクション

日本では耳慣れない言葉のホームインスペクションは、住宅建物に精通する診断士が客観的かつプロの立場から住宅の劣化状況や修理の必要性の有無などを判定し、修理のタイミングやコストを見積り助言する業務です。
中古住宅を購入する際、自宅の売却の際に住宅診断を行えば、住宅の状態を把握したうえで、安心した取引が可能です。

また、売買のタイミングだけでなく、居住中の自宅を診断して早期に修理箇所を発見するケースもあります。
近年では、不動産仲介業者が対象物件の現況説明の際、信頼性を確保して消費者に示す目的で利用するケースも増加しました。
具体的な診断の方法は目視が原則で、屋根や外壁などの外観に加え、室内や床下等を含め劣化の有無をトータルに診断するのが基本ですが、ケースによっては専用の検査機器を使った詳細診断をする場合もあります。

言ってみれば、ホームインスペクターは家屋の「健康診断医師」と言えるでしょう。
アメリカでは、州による差はあるものの、住宅取引全体の7~9割程度で住宅診断が行われ、すでに一般化しています。

日本における中古住宅の売買と法改正の背景

日本において中古住宅は新築住宅に比較して、コスト面で大きく有利であるにもかかわらず、家屋の状態に不安を持つ購入者が多いことから、取引件数が伸びません。

家屋の現状が外観以外は把握しづらいことから、使用可能であるにもかかわらず解体され、新たに建て直されることが多いのが実情です。
中古住宅は建てられた時点で、高い性能をもつ物件だったとしても、経年劣化や使用状況、改築等で状態は大きく変わっています。
これに対し新築住宅は、仕様や耐震性能は建てたハウスメーカーや工務店が保証するため不安なく購入を決断できます。
これらの理由により中古住宅市場は健全な発展を阻害されていたと言えます。

現状打破を目的としてインスペクション制度が取りいれられ、平成30年以降に行われる中古住宅の売買に際しては、宅地建物取引業法が改正され、仲介業者等に住宅診断の提案などが義務化されたのです。
具体的には中古住宅の売買に際し、住宅診断を受けることの助言・斡旋が仲介業者に求められます。
住宅診断済の住宅については、契約に当たり重要事項説明や契約書を交わすタイミングで、住宅診断結果の買主への報告が義務付けられます。

制度導入の狙いは中古住宅市場の活性化

住宅診断が広く行われるようになれば、プロの目による調査で中古住宅の品質が明確化されるため、購入者の住宅性能に対する不安が軽減されます。

そして中古住宅市場の活性化に繋げようというのが、制度導入の目的です。
現在の日本では、中古住宅の品質を見極めることが困難であるために、一律的に築後年数で価格が決定されます。
例えば木造住宅であれば、定期的にメンテナンスをして良好な状態を保っていたとしても、築20年を超過すれば多くがゼロ円と査定されるのです。
住宅診断が一般化し、住宅の品質が客観的に評価されれば、中古住宅の価格も適正に評価されることが期待されます。

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