保険として払っておこう!手付金の役割と意味

民法の規定による売買時の手付金

売買に関する取引においては、買い手が売り手に「買う」意思を表示して双方の合意ができれば、必ず買う必要があります。
ただ人間の気持ちや状況は変化することも多く、特に不動産のケースは高額なため、契約した後からも本当に買っても大丈夫だろうかと悩み、あくる日に「やっぱり買うのは止めよう」と思うことも起こりえます。

不動産の売買に際しては購入・売却の意思を強く明確化し、その証拠を残すために双方で「売買契約書」を作成しますが、契約時に買主が売主に支払う「手付金」が必要です。
順調に取引が進めば、手付金は物件引き渡し時に支払われる代金にあてられ、残額を物件引き渡し時に支払うことになります。

手付金の位置づけと金額

手付金は、売買契約が成立した証拠としての位置づけで契約金と同様の意味で使われます。
かつ買主・売主の両方が一方的に自己都合で契約を解除しないための保証として契約の履行を強固にする性格があります。
買主サイドが解除を申し出る際は、支払った手付金を放棄する必要があり、逆に売主サイドから申し出て解除するケースでは手付金を返したうえ、同額を買主に支払う事が義務付けられています。

売主にとっては手付金のいわゆる「倍返し」で、売主サイドの都合で契約を解除することを抑止しようという法律の意図が見られます。
なお、手付金の金額は法律上定められたものではありませんが、代金の1割前後とされることが多いです。
仮に売り手が宅建業者のケースでは、買い手の消費者等が不利益を被る事が無い様に、手付金額は最高でも売買金額の2割という上限が定められます。

万が一のための「手付金の保全措置」

不動産の売買契約を交わして、買主サイドが手付金などを売主サイドに支払ったのち、実際に対象物件が引渡されるまでの期間に、売主が倒産したり夜逃げしたりしたら困ってしまいます。
こんな事態の買主保護のために、払った手付金を返してもらう「手付金等の保全措置」という制度があります。
この制度の適用が可能なケースは、売り手が宅建業者で買い手が消費者となる取引に限定されます。
このようなトラブルが発生した場合は、引き渡しが行われないだけでなく、買主が売り主に払った手付金が戻ってこないケースが大半です。

そのようなリスクから一般の個人を保護するために、売主となる業者は手付金を受け取る前に、あらかじめ金融機関と保証契約を締結し、万が一の事態が生じても手付金分は買主が取り戻せる体制を作っておくことが求められています。
ただしこの措置は、すべての手付金が適用対象ではなく、未完成であれば、手付金が物件価格の5パーセント超あるいは1千万円超など一定の規模を超すケースに限って保証証書を発行することになっています。
ちなみに完成物件であれば、物件価格の10%超あるいは1,000万円超の場合です。

Bookmark the permalink.

Comments are closed